コンサル一年目が学ぶこと 大石哲之
久々の更新です。
2か月ほど前に”大石哲之『コンサル一年目が学ぶこと』(2014)株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン”を2章まで読んでみました。こういう自己啓発書は読みやすく作られていますが、著者はコンサルというだけあって内容が構造化されており非常に分かりやすい。トピックだけを読んでもよいほどです。数か月前に読んだ本ですが、備忘録もかねてまとめていきます。
第一章 コンサル流 話す技術
・PREPで話す
相手の問いにすぐに返答することよりも整理された結論が求められる。取そのため情報を
①Pont=結論
②Reason=理由
③Example=具体例
④Point=結論
に整理する癖をつける。
・Talk Straight
端的、簡潔に喋る、そして率直に喋る。Yes,Noで答える。言いにくいこともストレートに言い、社内で駆け引きをしない。
まず聞かれたことに答え、さらに聞かれたら理由を述べる。怒られないように言い訳をして進捗を遅らせたり、信頼感を損ねることはしない。
・数字
動かしようのない事実、数字で語る。そのためにも感覚的にとらえている問題を数字に落とし込み、証拠とすることで納得につながる。誰が何を何回、どこがいつ何回などのデータが必要。
・感情より論理
熱意や人情で話を進めるのではなく、論理の積み重ねで話を進める。論理さえ通っていれば上は話を聞いてくれる。
・ゼロから話す
相手は何も知らないと考えて1から10まで話す。相手の土俵に合わせて詳しく話す部分、省略していく部分を決める。
無言は無理解であり、理解されている場合は質問が来る。相手を見ながら話し、理解していないシグナル(前のページを見ている、曖昧な返事をする、こちらを見ていないなど)によって相手に合わせた話をする。
・期待値の把握
求められていることは何かを正確に把握し、そのちょっと上の成果を出す。
①仕事な背景・目的
②具体的っ仕事の成果イメージ
③クオリティー
④優先順位・緊急度
この4点を確認する。
第二章 コンサル流思考術
・考え方を考える
どうやったら答えにたどり着けるか考え、そのプロセスで問題ないか確認してから作業に入る。全体設計図を組み立てることで完成までの道のりと作業量が分かり、合意を形成することでちゃぶ台返しもなくなる。
・雲雨傘
提案は雲が出ていて雨が降りそうだから傘を持っていくの「事実」「解釈」「アクション」が明確になっているか確認する。
・仮説思考
もしかしたらこうではないかと大筋の仮設を立ててからリサーチを行い、仮設の検証を行う。間違っていたら仮説を見直し、仮説→検証→フィードバックのサイクルを回す。
・自分の意見を持つ
ビジネス能力は情報量よりも考えること。考えることとは自分の意見を持つこと。意見を持って情報にあたることで学びを得ることができる。
・情報<本質
情報を統合し「だから何なのだ」の本質を追求する。情報を集めるだけが仕事ではない。
こうやってまとめると「あーこれは研修でやったなぁ」と思い出すことがいくつかありますが、それを仕事で活かせているかどうかと問われれば微妙なところです。会社、その支店で通用する小手先の技術だけを身につけているだけな気がしてしまいます。いつでもどこでも通用する基本的なビジネススキルを磨いていかねばと思う日々です。
鉄道輸送 モーダルシフト
今日のYahoo!ニュースにこのような記事がありました。
要約すると、
自然災害やリーマンショック時を除いてJRのコンテナ輸送が増加中
増加の要因は
・トラックのドライバー不足
・モーダルシフトの潮流
JR貨物は全国の輸送網を活用し、災害時・平時問わず今後も輸送力を強化していく予定。
ざっとこんな感じ。
ではトラックから鉄道に切り替えるメリットとモーダルシフトとは何かを解説していきましょう。
トラックから鉄道輸送に切り替えるメリット
①中長距離のコスト減
一般に500キロを超える輸送の場合、トラックよりも鉄道での輸送のほうが輸送費、リードタイム(届くのにかかる時間)が安く、効率的となります。
トラックは場合長距離での輸送では帰り荷と呼ばれる往復で荷物を積むことで採算をとるようにしていますが、鉄道の場合には帰り荷を探す必要なく片道での利用が可能なため、コストがかからないようになっています。
②大量輸送
5t積載可能のコンテナ、通称ゴトコンと呼ばれる12フィートコンテナ(T11型PLを6枚)を130台連結させることが可能。つまり
車輛1両=5t×130台=650t
一度に最大650tもの輸送が可能であり、大型トラック65台分に相当する量を運ぶことが可能です。
③定時運行
日本の鉄道は約91パーセントが時刻表通りの定時で運行しており、渋滞などの影響がありません。このため時間通りの納品が可能となります。
各企業は鉄道輸送への切り替えを進めてサプライチェーンの最適化を推進しているため、JR貨物の年間取扱貨物量も増加しています。
モーダルシフトとは
モーダルシフトとは、トラック中心の輸送から、大量輸送が可能な船舶や鉄道輸送への移行のことです。
モーダルシフトを推進することで次のような問題を解決を試みています。
ドライバー不足への対応
船舶、鉄道の少ない労働力で大量輸送を行うことで、深刻化している長距離ドライバー不足の解消が見込めます。
環境負荷低減
トラックのCO2排出量と比較した場合、船舶では1/6、鉄道では1/11にまで削減することができるため、企業もCSR活動の一環として注目しています。
国土交通省を中心に、各企業はモーダルシフトを推進してクリーンな物流、より効率的なサプライチェーンを目指しています。
参考
兵站について
久々の更新です。コロナ騒動で最近忙しくて……
兵站について
近代的な戦争を語る上において「兵站」という概念は多くの場合重要視される。兵站とは何が可能かを規定する術のことである。具体的には輸送、補給、警備、占領地行政などなど、軍隊の戦闘以外の分野を包括する概念である。兵站的な充足をもって軍隊の活動可能範囲が規定されるため、近代戦において兵站は重要視される概念である。
兵站の歴史
ナポレオン時代以前の戦争でも兵站の概念は存在していたが重要視はされていなかった。なぜなら当時の軍隊は組織的に補給を行わず、現地での摘発や略奪に依存した前線での自活で戦闘を持続させていたからである。ナポレオン以降、戦争に動員される軍隊規模は大きくなり、現地での自活のみでは賄えなくなってきた。そのため兵站が整備された。
兵站能力不足の具体例
兵站の不足による戦争は第二次世界大戦の日本が例として挙げられる。日中戦争開始以降、敗戦までに戦没した日本軍人、軍属が230万人である。そのうち約6割の140万人が餓死やマラリヤなどの病気によって死没したと考えられている(日本政府は年別や死因別の統計を取っていないための推計)。これらのほとんどは南太平洋の補給の途絶した孤島で起きた死と考えて問題ない。日本は武器弾薬のみならず、食料補給もままならない地まで戦線を拡大し、多くの餓死者まで発生させた。対して米軍は自らの兵站能力以内で戦略的な戦線を維持し、前線の兵士がアイスクリームを食べられるほど能力を持っていた。一説には米軍は1人の前線兵士に対して18人の後方の兵士が支えていたといわれ、毎日約7万種の物資を届け、2400万食を用意していたという。補給の途絶していた日本とは雲泥の差、月とスッポンといった具合に、アメリカは自らの持つ兵站能力を正しく把握し、その中で戦略的に戦争を進めていた。兵站能力が軍隊の活動可能な範囲を規定し、兵站の中でのみ軍隊が活動しうると捉え、実行して勝利した。このように戦争において兵站を重視することで、活動可能範囲を広げられるため、兵站は重視されている。
【参考文献】
Martin van Creveld,監訳石津朋之(2018)『新時代「戦争論」』原書房
吉田裕(2017)『日本軍兵士 ——アジア・太平洋戦争の現実』中央公論新社
藤原彰(2018)『餓死した英霊たち』筑摩書房
自衛隊 中東派遣
1月3日にイラン革命軍ソレイマーニ司令官がアメリカ軍によって爆殺されてから一週間が経ち、11日に日本も海上自衛隊所属のP3C哨戒機が那覇空港を発ちました。
派遣の決定に対して市民からは、
海上自衛隊のP3C哨戒機が中東海域へ出発したことを受け、派遣に反対する市民らが十一日、東京都内をデモ行進し、防衛省前で「中東に哨戒機を送るな」「イラン包囲網に参加するな」と抗議の声を上げた
と批判がされています。
自分も左派であり、基本スタンスとして戦争反対なのですが、今回の派遣は致し方ないものなのかなと思います。というのも、日本をはじめ各国が海上戦力を保有する理由はシーレーンの防衛です。海軍戦略家のアルフレッド・マハンも海軍の存在理由は商船を保護することであると言います。
しかし今回の派遣では護衛艦たかなみ1隻だけで、武器を用いての防護は日本籍船だけに限られています。これでは派遣した意味があるのか疑問が残ります
。
日本の輸入依存率は非常に高く、原油はほぼ全量が輸入依存であり、そのうち中東が占める割合は9~8割です。中東エリアの情勢が悪化した場合、石油産出量は減少し、日本の輸入量も減少します。さらに今回の派遣での防護は日本船籍のみというくくりですので、日本商船隊の9割を占める外国籍船は防護の対象となりません。
今回の派遣は効果が曖昧でそれほどの攻撃力を持たないことから「やってますけど本気ではありませんから攻撃しないでねー」的なニュアンスが強い政治的なものなのかなと考えられますが、個人的には派遣するからにはより実行力を持った形でないといけないのではないかと思います。
海軍の役割が商船保護の話は講談社各術文庫版で述べられていることは確認しました。
7章でマハンの海戦論がまとめられています。
Amazon 初売りセールの理由
Amazonが今日からセールをやっています。
なぜ初売りが元日からではなく3日からなのか、倉庫勤務の目線から考えます。
大きく分けて3つの理由があると考えられます。
人手不足
年末年始はとにかく人を集めるのが大変です。特に9割以上を非正規雇用でまかない、人海戦術で成り立っている倉庫業にとって、人を集めにくいお盆や年末年始は厄介です。
他業種からは「そんなの完全機械化しちゃえばいいじゃん」
上のような記事をイメージしてよく言われますが、倉庫自体が永続的にそこに配置されているわけではなく、導入コストと効率性によって倉庫の設備は左右されてしまうので、意外と難しい。Amazonでも大きいところは機械化されていても、地区拠点や配送拠点は人力でやっているのが実情のようです。
そんな人力で支えている倉庫ですから、人件費的にお盆と年末年始は極力稼働したくない……そこで客側には年末年始はセールがあるからと買い控えさせ、年末年始に出勤の人件費を抑え、3日からフル稼働させるのではないかと考えられます。
仕入れ問題
倉庫は自らが生産するのではなく、生産された商品を保管して需要のバランスを調整する役割を持ちます。
メーカーの工場や倉庫から倉庫内に納入して保管して、必要な時に必要とされる量を出庫します。しかし、年末年始はメーカーは休みですから需要が供給量を上回った場合、商品がお客様のもとに届くリードタイムが伸び、キャンセルが増加してしまうため、損失となります。
ですからメーカーが稼働し始める年始明けまで待ち、セールを行っているのだと考えます。
AmazonのECサイトとの連携
AmazonはECサイトと倉庫・物流を自ら運営しており、情報がリアルタイムで共有されています。
先に挙げた二つの理由で遅配送が発生すると分かった場合、すぐさま品切れ中に表示を変えたり、配送日時を遅らせることでクレームを防ぎます。またピッキング等々の関係ですぐに出荷が可能なのであればタイムセール品として出荷することも可能です。情報を共有することで需給予想、需要に制限をかけることで人手不足や品切れに対応しきれない他社よりも優位性をもって商売にあたることができるので、3日からのセールに行っているのだと考えます。
国民と人種と民族
年末のゆく年くる年で山口県下関市にある韓国系寺院が紹介され、韓国人に対する反感が高まっています。
そもそも「〇〇人」とは何なのでしょうか。
〇〇に入るものを分けると、国民、民族、人種としての〇〇人となります。
国民(nation)とは、国籍を持った人もしくは政治的な共通属性を持つ集合の単位です。語源はラテン語の"natio(生まれる)"に由来し、故郷を共にしたものとして使われていました。"natio"の感覚は近代に入り、政治的単位である国家と結びつき、帰属意識を養うために教育やメディアによって国民をつくりあげました。このようなアイデンティティー構築運動をナショナリズムと呼びます。
人種(race)とは、先天的・遺伝的な身体的特徴によって区分した単位です。医学的に分かりやすい区分と思われるかもしれませんが、区分は社会によって規定されて時代時代によって区分も変わるため、過去には5種類であった人種が現代では4大人種(日本では3大人種とされている)となるなど、医学では一概に言えないと言えます。また、現代の医学では人類は遺伝的に単一種であるという立場に立っており、人種という考え方は不適切で多少の地域差に過ぎないとしています。
民族(ethnos group)とは、共通の言語・生活様式を持ち、同一の集団への帰属意識をもつ人々の集団です。国民に近い概念ですが、国民の帰属意識は国家によって規定されたものですが、民族は少数の共同体によって育成されたものであるとされています。
だからどーだという話ですが、そういう区分をふわっとした状態で語るのはどうだろうと思って書いた次第です。
セックスコーチ
前回ソビエト連邦を基にしたゲームの話題を書きましたが、ソ連に関連した面白い記事を見つけたので備忘録として少し書いていきます。
セックスコーチというとなんだかAVや成人向け漫画のような設定かと思いますが、ロシアではこの取り組みが真面目に行われているようです。
ソ連時代には共産主義のイデオロギーに基づいた政治が行われており、ソ連の目指す共産主義社会では家族や性別といった概念が重要ではないとされていました。イデオロギーの支柱となったマルクスは共産主義社会へと至る道程である資本主義社会に関して
すなわち近代的工業が発展すればするほど、男子の労働は、ますます婦人(および児童)の労働によって押しのけられる。性や年齢の際は、労働者階級にとっては、もはや社会的重要さをもたない。『共産党宣言』p49
としています。
ソ連は建国初期から女性を家事労働から解放し、新たな労働者として別の労働に従事可能にしています。発達した近代的工業では男女の性別というのは使う道具の差異だけで、本質的には同じであるとしています。
1991年にソ連が崩壊すると、官能的な映画やビデオから、きわどい写真を掲載した雑誌や大衆紙の広告に至るまで、性産業が一気に活気づいた
これはグッバイ、レーニンの序盤でベルリンの壁崩壊後の変化として主人公のアレックスがナレーションを入れていますね。資本主義的文化の流入によって性差が生じたというのはマルクスが指摘していた資本主義社会とは異なっており、まだ近代的工業が発展しきっていないのかもしれません。また現代の日本でも女性は働くことと家事を求められており、マルクスの主張が正しいとすれば日本は近代的工業が充分に発達していないといえます。